藤平学園に入学したての5月に、初めて「竹斬りの行」に参加しました。
 「竹斬りの行」とは、青竹の両端を輪にした半紙に通し、さらにその半紙をナイフで支えます。
 正しく心と身体を使えば、竹は一刀のもとに斬ることができます。

 その年の参加者は例年よりもかなり多く、合氣道の経験者が半分程度、他の方は合氣道はもちろんのこと、剣など持ったことのない方々でした。
 講習を受け、皆それぞれに「できる」と自分を信じ、竹を斬っていきます。
 私はまだ未熟ではありましたが、他の方より稽古をしている、そして藤平学園で学ばせて頂いているという自負がありました。
 ところが、私は何度も挑戦しましたが、まったく竹を斬ることができません。
 木刀を生まれて初めて持ったという方が、竹をスパッと斬っているのに、私の場合は半紙が切れ、竹は大きな音を立てて床に落ちるだけ…。
 皆、成功していき、残るものはあと数名になりました。
 その時の私は、落ち着いたふりをしながらも心の中はどうしようもない焦りで目の前が真っ暗でした。
 今までの自信が、ガラガラと崩れていきました。

 「斬ってやろう!」と不要な力が入ると、竹を斬ることはできません。
 心に驕りや慢心があると、結果、事は違った方向に進んでいきます。
 それに執着して慢心することと、それを糧としてさらに進むこととは天と地ほどの違いがあります。
 「心が身体を動かす」という氣の原理を、身をもって学んだ出来事でした。


 帰りがけ、藤平光一先生が私に一言おっしゃってくださいました。
 「稽古しろよ」
 それは、厳しく暖かく、今でも私の心の中にあります。
 道場での稽古だけが、修行ではありません。日常すべてが修行であり、学びです。


 「直心是道場」
 これからも、撓むことなく、日々精進して参ります。